

DAISUKE
KOMORI
「推し農家」をつくってほしい
生産者特殊部隊 U.T.O. 隊員 小森大将
宇土市石橋町でトマトや太秋柿を生産する小森ファームの小森大将さん。早い段階から法人化、ブランド化と全国へのPRに力を入れ、数々のメディアに取り上げられるなど全国区に。U.T.O.では、隊員を引き込むキーマン的存在です。これまでの取り組みや思いを聞きました。

品質の高い生産物のブランド化に力を入れる
もともと農家の家に生まれた小森さん。就農のきっかけは「大してないんですよ」と笑います。25歳まで別の仕事に就いていたものの「そろそろ実家を継がないと」といった理由で当時すでに法人化していた小森ファームで働くこととしました。
就農するにあたって小森さんが意識したのは「ブランド化」。「いいものを生産しているという自負はあり、それをどう世間の人に認めてもらうかの試行錯誤でした」。
小森ファームの生産物の品質の高さは当時からわかっていました。例えば、主力商品となるトマトはが甘みが濃厚で、肉厚できめ細かい果肉が特長。肥料や水分をコントロールし、厳しい環境でトマトにストレスを与えることで、さらに味が凝縮します。通常のトマトの糖度が4~5度に対し、小森ファームのものは8.5以上。トマト嫌いも虜にする品質が自慢でした。
ブランド化の一環として、生産するトマトやメロン、太秋柿に「プレミアム」を冠し、それぞれブランド名をネーミング。加工品としてトマトジュースも開発。また同時に、商品パッケージデザインやロゴ制作を専門の業者に依頼したり、ショッピングサイト、パンフレットを作成したりするなど広報活動にも力を入れます。同時に、商談会や道の駅での販売に積極的に参加。味の評価を受け、全国のバイヤーとのつながりも生まれ、小森さんは少しずつ手応えを感じていました。

メンバーの中心となり、U.T.O.誕生のきっかけに
バイヤーとのつながりから、神奈川県のスーパーマーケットの開店に合わせた販売会で「宇土地域の野菜を販売したい」と相談を受けた小森さん。宇土地域の他の農家も紹介してほしい、と依頼があった際に、U.T.O.の現メンバーである齊藤さん、鍬守さんなどに声をかけました。
「いずれも既存の農業ではなく次の展開を考えている生産者。一緒にやったら楽しいんじゃないか、と」。結果的にこの販売会がU.T.O.誕生のきっかけに。いち早く加工品生産や直接販売を手掛けている小森さんの存在が中心となり、U.T.O.にメンバーが集まる結果につながりました。

動画でバズリ、小森ファームファン獲得へ
直接消費者とやりとりをしている小森ファームは「どう商品をPRするか」が常に大きな課題です。そのための方策は「やってだめならそれでいいし、大けがするならその前にやめればいい」との思いから挑戦を続けています。早くから取り組んでいたウェブサイトに加え、SNSも積極的に取り組んでいます。なかでも、2年ほど前から始めた「動画」が注目を浴びています。
父である小森公明さんを「まいひめおじさん」として”ブランド化"。公明さんの朴訥なキャラクターが受け、動画投稿が話題に。Instagramのフォロワーは2025年6月現在3万人と、地方の農園としては驚きの人数を誇ります。動画制作を経て、売上は大幅アップ。「小森ファームファン」は全国に広がりました。
ただ、小森さんはこの結果も冷静に受け止めています。「バズろう、と思ってやったわけではなく、必要にかられてやっただけです。一般的な農家としては珍しいかもしれませんが、自分たちにとっては変わったことをしているつもりはありません」。

これからの農業には+αが不可欠
これからの農業は「つくるだけでなく、+αの何かが必要」と断言する小森さん。それがU.T.O.の活動にもつながると語ります。「売り方、売り先、次世代を育てる…など、生産に加えて異なる視点を持つこと。それが農家として生き残る道だと思います」。そのためにも、U.T.O.の7人の存在は大きいといいます。
「メンバーそれぞれが持つ経験や知識の違いが、”生産だけじゃない農業”を深める糧になれば」と小森さん。
同時に、消費者にとっても「推し農家をつくってほしい」とメッセージを送ります。「自分の推しの農家を見つけて、そこから購入する。消費者は自分の好みの生産物を安く手に入れられるし、生産者も利益率が上がる。お互いにwin winの関係です」
ただし、そのためには消費者が、よりよい生産者を見極める力を磨き、生産者も営業に力を入れるなど、お互いの歩み寄り、相互理解が欠かせません。「そうやって消費者と農家がもっと近く、深いつながりができたら、農業はさらに伸びていく」。語る小森さんの姿に、これからの農業のひとつのあり方が見えるようでした。







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